第9回 日本中医学会

10月5日(土)6日(日)に、タワーホール船堀にて行われた、日本中医学会に今年も会場アナウンスとして参加してきました。
第1回から実行委員として関わっているこの学会も、9年目を迎えるのだなと振り返ると感慨深くもあります。

大会テーマは「次世代につなぐ中医学」という事で、現行の教育システムや法制度の問題に踏み込んだ演題がみられました。
私も、養成学校にて長年教育に関わるものとして、カリキュラムや制度に歯がゆい思いをしたこともあります。

養成学校においても臨床においても「中医学」の存在感は、年々薄くなっていることを感じます。
3年間の養成学校での学習と国家資格を取得しただけでは臨床家として活躍することは難しいため、何か「コレ」といった武器が必要になります。
その武器の一つが流派における治療方針や施術方法です。
もちろん数ある中から、それぞれの手や感性に合ったものを選んで欲しいのですが、、、できれば、伝統鍼灸である中医学を選んで欲しものです。

6日(日)のランチョンセミナーで行われた、加島先生の「何を目的に、どう教育するか。」は、実践や試行を経て作り上げられた方法論で、とても感激してしまいました。
日々の臨床や教育技法は、このように考え工夫していかなければいけないのだなと思い知らされました。もう一度、聴講したい講演でした。

そして、一般演題で三谷先生が発表された「急性期病院でのDPC診療における鍼灸師の役割」も、まさに次世代が担うべき鍼灸師の在り方を示してくれていました。
日本の鍼灸師は、開業権があるため、独立開業が目標とされてきました。
しかし、近年は病鍼連携といって、病院の医師などと鍼灸師が連携し合い、お互いの医療の特徴を活かして補完し合う事も大事とされてきています。
どうあるべきかは、まだまだ討論し思考している最中ではありますが、これからは鎌倉・大船地域でも導入されるべき案だと実感しました。

三谷先生の発現の中で最も感動したのは、入院患者が「体調が悪いから鍼灸の先生にお願いしたい。」と訴えることが多々あるという点です。
薬よりも鍼灸を選んでいるのは、効果があると実感されているからです。通院の場合は、治療院まで体力と気力が必要になります。ですので、体調が優れないので予約をキャンセルする方がいらっしゃいますが、とても残念な事です。
健康や美容の目的で来院される方とは別ですが、鍼灸院には、本来、体調が悪い時にこそ来るべきですからね。

調査によると、世間の鍼灸への認知度は10%もありません。消費税よりも低いと知った時は、ほんとうにショックで頭を抱えました。
しかし、こうした活動を通じて鍼灸がなんたるものかが浸透すれば、この業界の未来も明るいなと希望がありますね。